最近話題の成分の1つでもあるフラーレン
配合化粧品の効果やフラーレンの種類や毒性について
カテゴリ:【 美容成分の知識 】
あまり化粧品に詳しい人でなくとも、今ではだいぶ知名度が上がり配合される化粧品も増えてきた成分の1つが今回ご紹介するフラーレンという成分になります。
フラーレンは簡単に説明すると、同じ炭素のみで構成された非常に非常に小さい炭素分子になります。
小さな炭素分子になり、まるでサッカーボールのような形をしている分子構造を持っている分子です。
と書いても、研究職の方ならいざ知らず、化粧品を探している人に研究用語で書いても意味がありませんので、もっと細かに解説していきたいと思います。
フラーレンと言えば、抗酸化力が抜群の成分として有名
分子だ何だといっても、多くの人が気になるのは、フラーレンが実際にはどういう成分で、どういう効果が期待できるのかという点に尽きます。
まずフラーレンには、抗酸化作用において、非常に高いという特徴を持っています。
抗酸化作用とは、簡単に言えば肌の老化やシミ・シワなどの原因でもある活性酸素を消してくれる働きを持っています。
抗酸化作用についてプチ解説
抗酸化作用というのが分からない!という方に簡単に解説しておきます。
私たちの肌には、酸化を引き起こす「活性酸素」というものがあります。
肌はいわば細胞の集まりであり、酸化していきますが、酸化というのはいわば老化の原因でもあります。
この酸化を引き起こす活性酸素を消してくれる働きが抗酸化作用という事になります。
酸化が肌の劣化というのがいまいち分からない場合、りんごを思い出してください。
リンゴをカットした後、しばらくするとリンゴの表面が変色していくかと思いますが、あれこそが酸化による老化と同じです。
例えば、フラーレンの水溶液を塗ったリンゴと、塗っていないリンゴではその酸化までの時間が明らかに変わるのですが、これこそまさにフラーレンの抗酸化力を示す証拠でもあります。
そして、この抗酸化作用は、フラーレンの場合、実にビタミンCと比較しても125倍という高さを誇ります。
ビタミンCでも、今では化粧品には「ビタミンC誘導体」として配合され抗酸化作用の効果がありますが、その125倍というのがフラーレンがいかに抗酸化力があるかの証明です。
これによって、肌に対する美肌効果や肌の老化防止への効き目などが期待できるのです。
また、この抗酸化作用によって、メラニンの生成を抑える事にも役立ち、シワや炎症を取り除いてくれるなどの効果を期待できます。
さらには、抗酸化作用自体も素晴らしいものがあるのですが、もう1つ素晴らしいのが、その持続性です。
抗酸化作用が強い成分は色々あったとしても、同時に持続性も高いというのが、このフラーレンの大きな特徴でもあります。
持続性が長いという事は、メリットも大きく、例えば夜寝る前に付けた化粧品が、睡眠中もしっかりと効果が持続するという事でもあります。
そうした事もあって、最近ではフラーレンを配合した化粧水や美容液などの化粧品が登場してきています。
コラーゲンの生成能力も抜群に高い
上記の抗酸化作用の効き目や持続性だけでも、非常に優れた成分になりますが、フラーレンはそれだけではありません。
フラーレンが人気を集めている理由のもう1つに、ハリや潤いなどに欠かせないコラーゲンの生成という能力があります。
このコラーゲンを生成するのにおいても、実に有名なプラセンタの800倍ほどの強力さを持ち合わせています。
このほかにも「メラニンの抑制」や「セルライト抑制効果」などもありますが、やはりフラーレンにおいては、この2つの「抗酸化作用」と「コラーゲンの生成」において、非常に高い効果を発揮するため、フラーレンが今人気を集めているのです。
非常に小さな低分子だからこそ、肌の奥にまで浸透する
最初にフラーレンは小さい分子という事を記載しました。
化粧品に配合される成分にとって、この分子が大きい・小さいというのは、いわば死活問題になります。
分子が大きい場合は、当然ながら肌の奥へ浸透しません。
肌の表面に対して潤いは与えてくれますが、成分本来の効果などが肌の奥へ浸透しないため、あまり成分が本来持っている効果も得られないのです。
ですが、分子が小さい分子量だと「低分子」と呼ばれ、肌の奥まで浸透するようになります。
コラーゲンもヒアルロン酸も、研究が進み、今では「低分子コラーゲン」「マリンコラーゲン」や「低分子ヒアルロン酸」として配合されていますが、それもこの低分子でなければ浸透しないという理由のためです。
そして、このフラーレンは、最初にも説明した通り非常に小さな分子になり、ナノレベルの小ささです。
そのため、化粧水や美容液、クリームなどに配合されていても、肌の角質層をすり抜けて、肌の内部の奥にまで浸透してくれ効き目を発揮できるのです。
ですから、肌の奥に隠れているいわゆる隠れシミにもきちんと作用して、メラニンの生成を抑制してくれます。
化粧品ですから、使ってすぐ効果というよりも、こういった事を肌の奥からジワジワと効き目を発揮して使い続けていく事で、肌にツヤが出たり明るくなる事などが期待できます。
フラーレンは1つではない?フラーレン選びについて
ここまでフラーレンの成分について解説してきました。
しかしながら、実はフラーレンというのは1つではなく、色々な種類があります。
まずはフラーレンの種類などについて知っておきましょう。
化粧品業界でのフラーレンは世界で1社のみが開発
化粧品の成分は多くは色々なメーカーや企業が使いますが、このフラーレンは、そもそも発見自体が1985年と最近です。
この成分発見により、ノーベル化学賞を受賞しています。
そして、今ではそのフラーレンを化粧品に配合するべく行っている企業が、ビタミンC60バイオリサーチ社になります。http://www.vc60.com/
フラーレンを化粧品原料として製造販売しているのは、世界中でもこのビタミンC60バイオリサーチ社のみで、管理なども全てこの企業が行っています。
化粧品のフラーレンで覚えておきた4種類
フラーレンには種類がありますが、大きく分けたら2つ、細かくは4つに分かれ、全て先ほどのビタミンC60バイオリサーチ社が管理し商標も同社が持っております。
厳密には6種類くらいに分かれますが、一般では4種知っておけばまず問題ないと言えます。
- ラジカルスポンジ(R.S.)
- リポフラーレン(L.F.)
- モイストフラーレン(M.F.)
- ヴェールフラーレン(V.F.)
これらは全て、管理しているビタミンC60バイオリサーチ社の検査に合格しフラーレンを規定の1%以上しっかりと配合された化粧品のみ認定されロゴを利用する事が可能になります。
それぞれのフラーレンの簡単な特徴を見ておきましょう。
ラジカルスポンジ
水溶性フラーレンになり、フラーレンの中でも最初に開発されたフラーレンで2005年に開発されています。
そもそもフラーレンの炭素は、水に溶けない特質を持ちますが、水溶性にしたことによって、化粧品配合が可能になりました。
ラジカルスポンジは水溶性で水に溶けやすいという特徴がありますので、化粧品としては、主に化粧水や美容液などに配合される事が多くなります。
リポフラーレン
ラジカルスポンジの次の2009年に開発され化粧品原料のフラーレンです。
フラーレン自体は、水だけではなく油にもほとんど溶けない性質を持ちますが、脂溶性になった事で、水にはラジカルスポンジ、油にはリポフラーレンと水と油の両方のフラーレン化粧品の原料が開発されました。
水溶性に対してこちらは水ではなく油に溶けやすいという特徴の脂溶性になります。
脂溶性のためどろっとしていて、乳液、クリーム、オイルなどに配合される事が多くなります。
ヴェールフラーレン
上記2つが主に水と油に対してのフラーレンでした。
主に美容系の化粧品に使われるものでしたが、それ以外でもフラーレンの必要性が叫ばれて開発されたものになります。
このヴェールフラーレンは、フラーレンに、無水ケイ酸と呼ばれるものを含ませてフラーレンをパウダー状にしたものになります。
パウダー状のため、ファンデーションや日焼け止め、BBクリームなどにも使われるようになりました。
モイストフラーレン
こちらも新しく登場したフラーレンです。
今までのフラーレンよりも、保湿力と浸透力により磨きをかけて充実させた原料になります。
両親媒性の特徴を持つため、水にも油にも溶け、より深く浸透するようになりました。
水にも油にも溶けるため、非常に幅広い化粧品に配合が可能で、化粧水や美容液、乳液にクリームなどに配合されています。
フラーレンで大事なのがどのフラーレンかではなく濃度
フラーレンに種類がありましたが、それはそもそも化粧品に配合可能なタイプかどうかが時代によって生み出されていたために出てきたものです。
水溶性のものは、クリームではなかなか難しいものがあり、水溶性から脂溶性、そしてそれらをパウダー状にして日焼け止めなどにも可能という流れできています。
そのため、フラーレンの種類がどれだから特に良い悪いというのはありません。
そもそも、新しいフラーレン原料はまだ配合の化粧品も少なかったりします。
フラーレン選びで大切なのが、どのフラーレンにおいても濃度になります。
フラーレンは、全体の1%分に含まれていれば、その効果を発揮するという特徴を持ちます。
そして、1%が配合されている化粧品には、原料を作っている先ほどのビタミンC60バイオリサーチ社によってそれぞれのフラーレンのマークが与えられます。
このマークが化粧品にあれば、該当フラーレンが1%配合されているという証明になります。
ですが、厳密に化粧品の配合のルールでは、フラーレン自体が1%というわけではないため要注意です。
細かく言えば、フラーレンと添加された成分の合計で1%という意味になります。
ラジカルスポンジの例を取ってみれば、構成成分としては下記の通りになります。
1,3-ブチレングリコール(BG) | 75% |
---|---|
水 | 14.97% |
ポリビニルピロリドン | 10% |
フラーレン | 0.03% |
実際の原料自体のほとんどはBGになりフラーレン自体は0.03%になります。
これはどのフラーレンでも同じです。
ただユーザー側として知っておくべきは、この0.03%配合という数値ではなく、添加物含めたフラーレン全体で1%の濃度かどうか、そしてその濃度があってフラーレンマークが授与されているかという点になります。
場合によっては、もット濃度が低く認定マークが授与されていないにもかかわらず、配合自体はごくごく僅かされているので、フレーレン化粧品と謳うような化粧品があるかもしれません。
そういったのを見抜くためにも配合成分はチェックするようにしましょう。
フラーレンの毒性?注意点や副作用など
これだけ優れた成分と聞くと、人間誰しも何か裏があるのか?といった思いを抱きます。
ですが、結論から言えば、フラーレンには毒性も副作用もありません。
現在まで報告がありませんし、色々な研究機関によって発がん性のリスクや光毒性に関する副作用などの検証や研究も行われていますが、毒性はないと結果も出されています。
ビタミンC誘導体と違い敏感肌も利用できる
フラーレンと同じような抗酸化作用の特徴を持つものにビタミンC誘導体があり、化粧品でもよく使われている成分ですが、酸が強く敏感肌などにはあまり向いていません。
ですが、フラーレンは刺激がほとんど無く、炭素という性質です。
そもそも私たち人間のからだも、実は水素、酸素の次に多いのがこの炭素なのです。
炭素はそもそも私たち人間が既に持っているものでもあり、フラーレンの毒性もないため、敏感肌や乾燥肌の方でも問題無く安心して使う事が可能なのです。
実際フラーレン化粧品は相性抜群の成分と使う事で効果絶大
フラーレンは単体でも優れた成分ですが、実際には他の抗酸化作用の成分との相性が抜群によく、一緒に配合する事でより効果を発揮します。
というのも、フラーレンに限らず抗酸化作用といえど、実はフラーレンもビタミンCも他の成分も、特定の活性酵素にしか抗酸化ができないのです。
ビタミンCが抗酸化できない活性酸素にフラーレンが抗酸化し、フラーレンが抗酸化できない活性酸素にビタミンCなどが抗酸化するといった事で補い合う事ができるのです。
ですので、フラーレンを配合する化粧品においては、同じ抗酸化作用の効果が期待できる成分と同時配合する事で、より肌の活性酸素を取り除くことが期待できるようになります。
敏感肌や乾燥肌は同時配合の成分に注意
フラーレン自体は敏感肌でも乾燥肌でも特に問題ありません。
ですが、先ほども述べたように同時に配合する成分によっては、この点は注意しなければなりません。
フラーレンは大丈夫でも、ビタミンC誘導体などは酸が強く刺激も強いため、敏感肌などにはあまり向いていないとも言えます。
フラーレンとビタミンC誘導体を配合された化粧品の場合、フラーレンで補修・修復しながら、ビタミンCによって刺激を与え続けるという可能性も出てきてしまいます。
そのため、敏感肌の場合はフラーレン単体成分配合の方が肌には優しいかもしれません。
それぞれの肌の状況などを見極めて、選ぶようにしましょう。